べべんべん弁士

サイレント映画を観ることはボ〇防止に効果的です。

 

映像がはっきりしない分、画面の隅々まで眼を走らせて情報を集めるため、眼球運動が促進します。

科白が聞こえない分、それまでの登場人物の相関図やストーリーを把握・構築・想像しながらリアルタイムを追うため、情報処理能力が向上します。

 

ポップコーンとコーク片手にまったりと…とは、トーキー時代に入ってからのアイテムでしょう。

全神経かけて1本観終えた頃には、ぜーはーぜはー疲労困憊―故に心にいつまでも残る…それがサイレント映画の効能です。

 

さぁ介護従事者の皆さん、レッツ★チャレンジ

 

まぁ実際、老人ホームで実習した学生が20分のサイレント映画を利用者さんに見てもらったところ、残り5分で「ずっと画面がまっしろねぇ。いつ始まるの?」と言われ、未曽有の大災害に襲われたという話しは伝説です。 ※同級生実話より

 

 

さて、私は徹夜こそできなくなったものの、まだサイレント映画1本分くらいは全力で挑める体力と気力がございます。

 

この度はとんでもない偶然の巡り合わせで、大女優リリアン・ギッシュの『東への道』を、なんと活動弁士付きで観られる機会に恵まれました。

 

 

我が家のトラヲキネマではなく、本物の映画館でサイレント―しかもリリアン・ギッシュを観ることができただけで大興奮でした。

内容は、なぜこんなコテコテのストーリーにここまでの長尺が必要だったのか?!というものでしたが、ところどころの彼女の演技力が、…もぅッさすが……!!と胸を打つものだったので、もう宜しいでしょう。(死に逝く赤子に洗礼の儀式を行う場面は堪りませんでした。氷上のシーン、どう撮ったのだろう??)

そして相手役のリチャード・バーセルメス。いつの時代もハンサムの定義は変わらない…と思わせるほどの2枚目さんなのですが、なんと彼、かの『散りゆく花』の中国人宣教師でした。

どっかーーん まじかーー あの中国人、結構イっちゃってる人だったから心配だったのだけれど(まぁあの映画のキャスト全員振り切れてたが)やっぱり演技の1つだったのねー、そりゃそうよねー、安心したー。

 

弁士付きの映画はいつか体験してみたいと思っていたので、今回は嬉しかったです。

ハルキさん、とってもお上手で、違和感なく物語にのめり込むことができました。

敢えて言うなら、すこーしだけ、科白抜いてもいい場面があった気がすること。こんな風に思うのは、歴々の弁士の声が録音された映画をいくつも観てきた中で、「意外に喋らないな」と不思議に感じたことが何度かあったからなのですが。

そうかぁ……画で充分魅せる力がある場面では、意識して声を削っていたのかもしれませんね。

 

う~~~ん奥が深い。リリアン麗しい。

 

by さぁチュン