夜のガスパール

忘れられた散文詩人、ベルトランは毎夜酔っぱらって、パリの舗道を歩いた。

手には、望めばいくらでも水が湧き出てくる壺を持って、夜の石畳を濡らした。

知られることのない詩人はいま「夜のガスパール」を書きあげたところだ。

彼が亡くなって数十年後、ピアノの魔術師ラヴェルが、この散文詩をピアノ

独奏曲にした。「オンディーヌ・絞首台・スカルボ」音の洪水、暗く重い孤独。

僕は、サンソン・フランソワやミケランジェリで、少し音量を上げて聞きます。

by ひいチュン