南里文雄

1970年頃だったと思う、真夏の日比谷野音に僕はいた。

幾人かのミュージシャンがそれぞれに演奏し、そして南里文雄が出てきて

2曲演奏した。素晴らしかった。彼はその頃60歳ぐらいだったらしいが、僕には

もっと年寄りに見えた。その演奏はデキシーだが音が立っていた、魂が入っていた。

野音にいた全員の心をとらえた。その日1番の拍手と歓声だった。

その日は笠井紀美子も矢沢も出たと思う、しかし南里文雄を聞けたのは幸運だった。

野音の帰りに銀座に寄って彼のレコードを買った、今も僕の部屋に在る。

いま彼のペットを聞きたければ、浅川マキの裏窓というCDが手っ取り早いかもしれない、

ここでもいい演奏をしている。

by ひいチュン