パペットって作ってみたくなりますよね…。
ここはユジク阿佐ヶ谷。阿佐ヶ谷商店街からほんの少し外れた所にある隠れ家的映画館だ。
先日「東への道」を観た際に某ポスターを見つけ、次はこれだなと上映日を待っていた。
それがこれ。『ホフマニアダ―ホフマンの物語―』である。
到着すると、この映画館のロゴでもある、“ヨージック君”が迎えてくれた。かのロシアを代表するアニメーション監督、ユーリー・ノルシュテインが手掛けた「霧の中のハリネズミ」に登場するキャラクターである。
すぐに階段を降りるのも何だかもったいなくて、建物の周辺をぐるりしようと、とりあえず左手に廻ったら、、、
ん?
んん( -_・)?
んーーー??!!なぜ!!ここに月世界旅行!?!
マジですか嬉しいさっすがマニアック映画館!
内心で吠えながら連写!!だよねッこれが全ての起源よねっ💘
始まる前からはしゃぎまくり、ちょっと落ち着こうと辺りを見渡す。-と、斜め向かいに煙草屋さんが。ふらふらと吸い寄せられ、何とはなしに商品のパッケージを眺める-と-
ん?
( -_・)んーーーー!?ブラックジャック……の、復刻版じゃないやつ?!なにそれ初めて見た!!そりゃそうだよ、元が無くなったからこその「復刻版」だからねっっ?!
内心で吠えながら1箱お買い上げ。 --あれ、デジャブ…
そんなこんなで気持ちなんぞ全く治まらないまま、遂に入場時間が。
ここは補助席込みで48席しかないくせに、基本的に全てのチケットは当日販売のみという恐ろしいシステムだそうで。
私の後に来た2人組は「残り1席なのですが…」とスタッフさんに抜刀されてフリーズしてました。
さて。幕が上がり、まずは同時上映の『マイリトルゴート』から。
これは東京藝術大学大学院の学生さんが卒業制作として1年がかりで完成させ、数々の賞を受賞した作品だそう。
グリム童話「狼と七匹の子山羊」をもとに、フェルト人形を用いて児童虐待などの社会問題にスポットを当てた―とこんな説明を読むと、「単に奇をてらったんじゃ?」なんて思う人も一握りくらいはいるのかもしれないが、実際に観るとそんなレベルではない。これを書いている今だって、あの11分間に引き摺られている。印象に残るしかない映画だった。
やったな藝大生ッ君の社会人スタートはとりあえず明るいっ!
--と、とんでもない高密度の11分が過ぎ、間髪入れずに本命が始まった。
正直お客の大半は、「こんな“持ってかれた”状態で次観るんかいっ!」と突っ込みを入れたかったことだろう。
しかしそこはやはりプロである。ロシアの一流集団が15年の執念をかけて結実させた大作に、徐々に私の心もサラマンダーと空へ飛び立っていった。
感想は-おんもしろかったッ。
映画の撮り方にはお国柄が出るが、パペットであろうとそれは全く同じであった。
特に魅力的だった何点かについて。
まずカメラワーク。人間が登場する映画と同じような角度でシーンを切り取っている。つまり、人形より室内や風景が主役の時がいくらでもあり、パペット人形はあくまで映画の一要素でしかない、と言われているようであった。
次に人形の表情の作り方。これがまぁリアルで、喜怒哀楽の間に喜奇希輝嬉怒努問留哀愛和穢楽落絡くらいの顔がある。使い回しを後回しにした創作根性の賜物か、お客には例え小さな表情の変化であろうと、それが何を含んだ顔なのか、人間の表情を思い浮かべて連想することが出来た。
さらには歩き方。いわゆるモブキャラに至るまで詳細な人物設定がされているようで、そこから導き出せる「歩き方」をいくつも見た。大通りを行き交う複数のキャラクターがそれぞれの人生を歩き方一発で現していたのは、本当に秀逸だった。
凄いなぁ。ロシアってこういう国なんだなぁ(?)
起承転結とか勧善懲悪とかに飽き飽きしていたそこのあなたにはかなりお勧め。パペットは子供向け、と漠然と思っていたそこのあなたには本当にお勧め。
映画館を出るとまだ陽も高く、風がお散歩を促してくる。逆らう理由もなく、阿佐ヶ谷商店街へと足を踏み出した。
成果としては、、、
和菓子屋さんで練乳餅にまみれ、
ドイツ雑貨店で珈琲豆の香りに当てられ、
かまぼこ屋さんでイワシ野菜つみれに呼ばれ、
作家雑貨店でジジっぽい生き物に見つめられ、
ロシア雑貨店でトラ(と勝手に思っている)に遭遇し、
大掃除中のなんでも屋でQuinze heures trenteのワンピースに袖を通した、2時間20分のお散歩でした。 byち●散歩
阿佐ヶ谷をすっかり堪能すると、その足で高円寺へ。実は本日のおでかけ、重要なミッションがもう1つあったのだ。
それは、先日偶然見つけて飛び上がらんばかりに驚いたくせに、とりあえず図書館で借りてみようと購入には至らなかった「リリアン・ギッシュ自伝」を古本屋までお迎えに上がること。
斯くして、、、あったぁあああ~✨う・ふふっ💖 やっべーーうれしぃいーー💖💖
秒で本屋を後にすると、向かいの「スパイスカレー青藍」さんへ一目散。まるでトロピカルな味と香りを頂いて、本日はここまで。
ちゅんちゅん♪
by さぁチュン