道化師の朝の歌

LPレコードの時代には、中身を知らずとも、おもわず手に取って買ってしまうほど

素敵なジャケットのレコードに何度もめぐり会いました。まず外れはありませんでした。

20歳の頃、神保町を歩いていて臨時で開いていた一軒の中古のレコード店で、

見つけたのです、今も持っているこの一枚に。アリシア・デ・ラローチャの

ラヴェルのピアノ曲集です。僕はラヴェルをほとんど知らなかったし、ラローチャも

知りませんでした、それが素晴らしいレコードでした。ピアノも音質も曲たちも。

A面の1曲目が「道化師の朝の歌」です、これが素敵だった、毎日聞きました。

ラローチャは明快でリズム感が抜群なピアニストで、このあとは彼女のレコードを

幾枚も買いました。ああこのレコードのジャケットを描ければいいのだけれど、

僕にはそんな模写力はありません。

道化師は笑顔が顔に張り付いています、悲しみに沈むときも、笑顔です。

by ひいチュン