泉鏡花と神楽坂

神楽坂に居を構えていた浪漫と幻想と文豪、泉鏡花。その人自身を主役にした神楽坂怪奇譚「棲」の再再演に行って参りました。

 

この企画を私は今回初めて知ったのですが、再再演ということはとても人気があるのですね。

割とお高い料金設定だなぁと思わないでもなかったけれど、小屋が非常に小さいのと出演する方の魅力に惹かれて、気づけばチケットを取っていました。

 

公演場所の「TheGLEE」に足を踏み入れた瞬間、これはいけないぞと(笑)

後から調べてみると、ここは“良い音楽は良い環境から生まれる”という理念の下、STEINWAYをはじめとする楽器や機材、ルームアコースティックを調整する反響板や吸音材にも徹底的に拘ったホールであったことが判明。わずか70席という贅沢な音響空間の入口には、有名アーティストの色紙がズラリ…。

 

こんな閉鎖空間で二人芝居の怪奇譚なんて、何か連れ帰っちゃうに決まっているではありませんか!

 

と、心の叫びも束の間、連れ帰っちゃうどころか狭い狭い赤黒い空間にそれはもう既に居た。3人も。

パンフには女童と記されていましたが、典型的なお禿さんが首や大きな眼をカクカクぎょろりと動かしながら、開演時間まで観客の周りを蠢いて下さいました。きゃらきゃらと哂うことも忘れずに。

 

そして幕が上がる―。始めは背中合わせで演技していた役者同士が、次第に肩を並べ、最後はとぐろを巻くように身体を曲げる様は、その二人が実は一人の人物だったから―というか一人の人物の中にんでしまったモノが具現化したから二人いるように思えてしまった…という演出なのかなぁと、ぞぉっとしました。

声の役者は早着替え以上の速さで役を変えられるから、ホラーなんて演られると鳥肌がもの凄いですね。その恐怖を助長させるように、最高の音響空間に響き渡る本物の尺八……こりゃ値段張るの当然だわ。

 

役者の素晴らしさは言わずもがなでしたが、もう一つ半端でなかった演出は、先程のお禿さん3人衆の働きっぷり。

90分、大の男が2人座った円盤状の舞台を、手動で廻し続けました。それも、噺の展開に合わせて緩急をつけたり逆回転をかけたり…その間も甲高い声できゃらきゃら哂い、首や眼を爬虫類のように動かしているのです。

とんでもない演出を考え、そしてやりきったな……!!!と強く感激しました。

これを考え、同時に女童役もこなした兵頭祐香さん、貴女は凄い。

 

 

帰りにお清めの塩と蝋燭を貰いました。余計恐いわっっ!;;

 

by さぁチュン